Technical Information and Technical Column
超硬合金の腐食の原理とその対策方法とは?
今回の記事では、超硬合金メーカーであるエバーロイが、専門家の視点で超硬合金の腐食とその対策について説明します。
超硬合金の腐食とは?
超硬合金は、主成分としてWC-CoまたはWC-Niで構成されています。超硬合金の腐食は中性や酸性の溶液中において、CoやNiが溶液中へ溶出することによって生じます。腐食が生じて、CoやNiが溶出した部分はWC同士を支える結合相がなくなってしまうため、大変脆くなります。これによって、部品の強度が低下し、破損や早期摩耗が発生する可能性があります。
超硬に付着した水分中の酸素溶解量の濃度差により局部電池機構が生じ、Co結合相が金属イオンとして溶出します。
腐食反応:Co+ ½ O2+H2O→Co2++2OH-
アノード反応:Co→Co2++2e-
カソード反応:½O2+H2O+2e-→2OH-
また、溶液中でWC-Co合金よりも電位の貴な金属(例:ステンレス等)が接触した状態にある場合、電位差によって異種金属間同士で局部電池機構が生じ、アノード側となる超硬合金の腐食速度が増加します(ガルバニック腐食)。WC-Ni合金はWC-Co合金に比べて電位が貴であるため、腐食は生じにくいとされています。さらに、表面に微小な隙間(ポア等)が生じている場合には、隙間内で酸素が欠乏してアノード反応が集中し、溶出した金属イオンが隙間内の溶液のphを下げるため、隙間部分の腐食速度が増加します(隙間腐食)。
超硬合金の腐食の対策方法
使用される環境に大きく左右されますが、一般的にはNi結合相を採用したり、Crといった不働態被膜を形成する金属を添加することで耐食性が向上します。エバーロイでは長年蓄積してきたノウハウにより、性能と耐食性のバランスを両立した優れた超硬合金を提供します。お客様が使用されている部品の使用後の状態を評価し、素材をご提案させていただくことも可能です。
当社にお任せください
超硬合金の腐食についてご理解頂けましたでしょうか。エバーロイは、多様な種類の超硬合金をラインナップとしてご用意しています。超硬合金についてお悩みをお持ちの皆様、お気軽に当社に御相談ください。
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