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技術情報・技術コラム

内面研削加工とは?使用される研削盤や加工の注意点を解説

超硬素材の選定・開発から超硬加工のことならエバーロイへご相談ください

内面研削加工とは、工作物の穴の内面を研削する加工方法です。高精度な工業製品の製造に欠かせない加工方法で、行う際は加工の概要や必要な機材、加工時の注意点などを理解することが重要です。

そこで本記事では、まずは研削加工の概要やメリット・デメリット、その後に内面研削加工を解説します。記事の後半では、使用される内面研削盤や内面研削加工の注意点などもご紹介するのでぜひ参考にしてください。

研削加工とは

研削加工とは、複数の小さく硬い砥石を高速回転させ、被加工材の表面を少しずつ削る加工方法です。ダイヤモンドや炭化ケイ素など高硬度の素材が砥粒として使用されており、それぞれの粒が刃の役割を果たしているため、硬い被加工材も精密に削れます。

研削加工の種類は、主に以下の通りです。

  • 平面研削加工
  • 円筒研削加工
  • センタレス研削加工
  • 歯車研削加工
  • 内面研削加工

平面研削加工とは、平面研削盤を用いて工作物の平面を削り取る加工方法です。テーブルの形状と砥石軸の方向が異なる、立軸角テーブル型・立軸円テーブル型・横軸角テーブル型・横軸円テーブル型などの平面研削盤を用いて行われます。

平面研削加工は、高い寸法精度と面粗度を実現でき、滑らかに仕上げられる点がメリットです。一方で、砥石を用いて少しずつ加工する分加工時間が長くなるので、短時間で大きく削り取りたい場合には向いていません。

円筒研削加工とは、円筒状の工作物を回転させながら砥石で外周を研削する加工方法です。産業用機械のローラーやシャフト、自動車のキングピンなどの軸形状・円筒状の製品の加工に使用されます。

工作物を軸方向に往復させて平面を加工するトラバース研削や、コマ状の砥石を斜めに使用して外周面と端面を同時に研削するアンギュラ研削、砥石を垂直に押し当てるプランジ研削などの細かく分類されるので、用途や目的に応じて使い分けるのが重要です。

センタレス研削加工とは、固定された支持刃(ブレード)、研削砥石、回転する調整車(コントローラー)の3つで工作物全体を支え、外周を研削する加工方法を指します。連続生産が可能であるため、加工時間を大幅に短縮できる点がメリットです。また、工作物全体を支持するためたわみが少なく、長尺物の加工にも適しています。ただし、円筒研削加工と比較して精度が劣る点は念頭に置いておきましょう。

歯車研削加工とは、歯車の歯面を砥石で研削する加工方法です。効率の良い動力伝達に欠かせない歯車を製造できる点が特徴で、歯型やバイアス(ねじれ形状)を調整して複雑な歯面形状を作り出すこともできます。

本記事のメインテーマである内面研削加工については、後ほど詳しく解説します。

研削加工のメリット

研削加工のメリットは、以下の通りです。

  • 精度の高い加工が得意である
  • 硬くて加工が困難である金属を加工できる
  • 面粗度を調整できる

まず挙げられるメリットが、砥石を用いて少量ずつ削るため精度の高い加工が得意である点です。マイクロメートル単位での表面研削が可能であり、これにより滑らかな仕上がりを実現します。

また硬くて加工が困難である金属を加工できる点もメリットです。ダイヤモンドや炭化ケイ素などの高硬度の砥石を使用するため、一般的なやすりでは削りきれない硬い金属も、高品質に仕上げられます。仮に砥粒が工作物より柔らかくても、切れ味は落ちません。砥粒の刃が欠けたり摩耗したりしても、新しい砥粒が露出する自生作用があるため、常に切れ味が持続するためです。

さらに、工作物の表面を少しずつ削り取るため、面粗度を調整できる点もメリットに挙げられます。

研削加工のデメリット

研削加工には先述したメリットだけではなく、デメリットもあります。実際に活用する場合は、以下のデメリットも押さえておきましょう。

  • 大きく削ることはできない
  • 研削焼けには注意が必要となる
  • 事故が発生するリスクが高い

研削加工は、大きく削ることはできない点がデメリットです。細かく丁寧に加工されるため、加工時間は長くなる傾向にあります。大きく削りたい場合は、まず切削加工(刃物を使って工作物を削り取る加工方法)で大枠を作成し、その後に研削加工で精密な仕上げを行うのが一般的です。

研削加工では、研削焼けにも注意しなければなりません。研削加工では、砥石と工作物の間で摩擦が発生します。このときに発生する高温により工作物の表面が変色し性質が変わる現象が、研削焼けです。その他割れが生じることもあるので、研削液で常に冷却し続ける必要があります。

また研削加工は砥石が高速で回転しているため、操作を誤ると事故が発生するリスクが高まる点にも注意が必要です。砥石を速く回転させ過ぎない、工作物を過度に押し付けないなどの対策を取りましょう。

内面研削加工とは

内面研削加工とは

内面研削加工とは、主に穴の内面を高精度に仕上げるための加工方法です。この加工方法では、工作物を回転させ、その内部に高速回転する砥石を挿入して研削します。

内面研削加工には、以下の3つの種類があります。

  • テーパ加工
  • 段付き加工
  • 中ぐり加工

テーパ加工とは、先端に向かって次第に細くなるデザインの構造物を円錐状に先細りに加工する方法です。主に旋盤で行われる加工方法であり、刃物台の傾きを調整して工作物に角度を付けて旋削しますが、工作物に角度を付けて自動送りで切削できる方法もあります。テーパ加工の特徴はテーパ嵌め合いにより軸ブレを低減でき、騒音や振動を抑制できる点です。

段付き加工とは、工作物の表面に段差を作り出す加工方法です。段付きボルトなど、特定の機能や形状を持つ製品を製造できる点がメリットに挙げられます。一方で砥石の先端が摩耗しやすく、加工時間が長くなる点には注意しましょう。

中ぐり加工とは、ドリルで開けた穴をさらに広げる加工方法です。ボーリングバーと呼ばれる専用工具を用いて穴の内面を削ります。エンジンや軸受け、金型、機械部品など高い精度が要求される製品の製造に適しています。

砥石の種類・構造

砥石は、砥粒・結合剤・気孔の3つの要素で構成されています。内面研削加工で用いられる砥石は、砥粒の種類により主に以下のように分けられます。

種類

素材

用途

アルミナ系

●  褐色アルミナ

●  淡紅色アルミナ

●  白色アルミナなど

ステンレス鋼や工具鋼、高強度アルミニウム

炭化ケイ素系

●  黒色炭化ケイ素

●  緑色炭化ケイ素

ステンレスやアルミ、真ちゅう、彫刻合金、ガラス、高硬度材料

超砥粒

●  ダイヤモンド

●  CBN

サファイヤや炭化ケイ素、耐熱鋼、高硬度ベアリング鋼

結合剤とは、砥粒同士を結合させ保持する役割があり、ボンドとも呼ばれます。弾性係数や強度・硬度により、ビトリファイド・レジノイド・メタル・電着などに分けられ、工作物の性質に応じて使い分けるのが重要です。

気孔とは、砥粒の間にある小さな隙間です。削りカスの排出・砥石の冷却・研削力低下や加工焼けの防止など、さまざまな役割があります。

使用される内面研削盤

研削加工を行うための工作機械を、研削盤といいます。内面研削加工で使用される内面研削盤には、普通型やプラネタリ型などがあります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

普通型

普通型は、砥石を工作物の穴の中に挿入し、工作物を回転させながら砥石を前後に往復させるタイプです。一端面を基準とした研削加工であり、加工精度が高い点がメリットに挙げられます。

プラネタリ型

プラネタリ型は、工作物を固定し砥石を回転させるタイプの内面研削盤です。この型では、砥石が遊星運動をしながら内面を研削します。工作物を固定するため、大型製品や複雑な内径の加工が可能です。

内面研削加工の注意点

内面研削加工を行う際は、以下の点に注意してください。

  • 砥石軸に「高精度」と「高剛性」の二つの要素が求められる
  • 切り込み量や送り速度、研削液に注意が必要となる

内面研削加工では、工作物の穴より小さいサイズの砥石を使用しなければならず、穴の中に挿入するには砥石が細長いものである必要があります。また砥石は高速で回転するため、いかに砥石の振れ幅を抑えるかを考慮しなければなりません。振れ幅が大きいと、加工精度が落ち製品の仕上がりにも影響を与えます。

そのため、砥石軸には「高精度」と「高剛性」の二つの要素が求められるのです。高精度の砥石軸により、マイクロレベルでの調整が可能となります。また高剛性の砥石軸は、加工中の振動による変形を防ぎ、安定した加工を実現する上では欠かせません。

加えて、切り込み量や送り速度、研削液に注意が必要となる点には注意しましょう。

切り込み量が大き過ぎると研削抵抗が増加し、砥石に負担がかかり仕上がりが粗くなります。反対に少な過ぎると、研削抵抗が小さく砥石が滑って高温となり、加工焼けが発生します。

適度な送り速度を保つことも重要です。送り速度が速過ぎると砥石に機械的負荷がかかり寿命が低下し、遅過ぎると工作物が熱を持ち加工焼けが発生します。

研削液とは、研削加工に使用される水溶性・不水溶性の油です。潤滑性向上・熱の抑制・くずやスラッジなどの除去・防錆効果などがあります。

まとめ

研削加工とは、複数の小さく硬い砥石を高速回転させ、被加工材の表面を少しずつ削る加工方法です。精度の高い加工が得意である他、硬くて加工が困難といわれている金属を加工できる点がメリットに挙げられます。一方で、大きく削れなかったり、工作物と砥石の摩擦により熱を持ちやすかったりする点には注意しましょう。

研削加工にはいくつか種類があり、その一種である内面研削加工とは、主に穴の内面を高精度に仕上げるための加工方法です。内面研削の加工方法にもさまざまな種類があり、使用される内面研削盤にはそれぞれ特徴があるので、加工時は把握しておきましょう。

エバーロイ商事株式会社では、超硬素材選定・超硬製品開発・超硬精密加工を提供しています。素材開発から精密加工までの一貫したソリューション提供により、お客さまの課題を解決に導きます。内面研削加工により製品を製造しようとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した人

エバーロイ商事株式会社

大久保 文正

エバーロイ商事株式会社

昭和33年の設立以来、長年にわたり超硬工具の販売。
その製品はエバーロイの名で、広く多くのお客様からご支持をいただいております。
技術革新の激しい時代の中、お客様のあらゆるニーズに対応すべく、製販一体となって当社のオリジナリティを生かした営業活動を推進して参ります。

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