技術情報・技術コラム
平面研削とは?4つの加工方法や平面研削盤を解説
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研削加工において精度が厳しい平面度や直角度、平行度を求められたとき、平面研削の知識を身につけているかが結果を左右します。
本記事では平面研削の基本情報をはじめ、平面研磨や他の似ている言葉の違いを解説します。また平面研削盤の種類や4つの加工方法も詳しく紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
平面研削とは
平面研削とは、平面研削盤を用いて工業製品や機械部品の表面を仕上げる研削加工方法です。高精度な平面度や平行度にするため、砥石とワークと呼ばれる被削材をさまざまな方向に移動させて加工します。
さらに平面研削の理解を深めるためには、以下のポイントを抑えましょう。
- 平面研磨との違い
- 平面研削盤とは
- 平面研削のメリット
それぞれのポイントについて解説します。
平面研磨との違い
平面研磨は、加工の目的や手法、使用される機械などの点で平面研削と異なります。
- 平面研削:ワークの表面を削る
- 平面研磨:ワークの表面を磨く
平面研削は製品や素材を削り取り、平行度や平面度、直角度を高精度に仕上げることが目的です。一方で平面研磨は、表面の最終工程である仕上げを主な目的としています。大きく研削しワークそのものの形状を整えるのが平面研削、最後に加工面をキレイに仕上げるのが平面研磨と理解しておくとよいでしょう。
- 平面研削:砥石を使って加工
- 平面研磨:研磨剤などで加工
また平面研削では、砥石をワークに押し当て物理的に削り取ります。平面研磨は研磨剤や研磨ホイールを使用して細かい研磨を行うため、平面研削と比較した加工面は均一で滑らかな仕上がりです。
- 平面研削:平面研削盤を使用
- 平面研磨:研磨機などを使用
さらに使用される機械も異なる点も覚えておきましょう。平面研削では、平面研削盤や円筒研削盤など専用の研削機械が使用されるのが一般的です。他方、平面研磨では研磨機や研磨装置などの機械が使用されます。
また似ている言葉としてよく使われる切削加工との違いは以下のとおりです。
- 切削加工:ワークを刃物で削り取る。
- 研削加工:砥石で平面を研削する。
大きく加工したいときは切削加工、表面の平面度を高めたい場合は研削加工を用いるのが一般的です。
平面研削盤とは
平面研削盤とは、平面研削に使用する機械のことです。砥石を支えるコラムやワークを固定するテーブル、サドルや制御盤などで構成されていて、厳しい平行度や平面度、直角度が求められる際に使用されます。
ワークをテーブルに固定した上で砥石に押し当て、テーブルや砥石を前後左右に動かすことで加工を行います。ワークの固定方式は以下の3つです。
- 磁力で固定
- 真空で固定
- ストッパーで固定
テーブルの形や砥石軸の方向によって、複数の種類があるのも特徴の一つです。砥石をどのように当てるかによって幅広い研削が可能なため、一般的に使用されている機械の一つです。
似ている言葉で「成型研削盤」があります。成型研削盤は、ワークに合わせて成型された砥石を使う機械です。平らな表面を削り取る場合は平面研削盤、専用部品の研削には成型研削盤が用いられるのが一般的です。
平面研削は平面切削と混同されることもあります。平面切削は刃物やドリルでワークを加工するのに対し、平面研削は砥石を使う点が異なります。寸法精度や面粗さを細かくしたい場合は、平面研削がおすすめです。
平面研削のメリット
平面研削は、平面研削盤を使うことで高い精度の加工ができるため、面粗さや寸法精度を要求される製品の加工に適しています。またワークの表面を滑らかに仕上げることもでき、高い面粗度を実現できます。
加えて、さまざまなワークに適した方法を選択できる点もメリットです。例えば立軸横テーブル型を使えば、一度に広い範囲を加工できます。また横軸角テーブル型なら、小さい部品を大量に加工したい場合に向いています。
一方で砥石を使って少しずつ加工するため、短時間で大きく削りたいときには不向きな加工方法です。それぞれの加工方法の特徴を活かせるように、特徴を把握して使い分けましょう。
平面研削盤は4種類
平面研削盤には、以下の4つがあります。
- 立軸角テーブル型
- 立軸円テーブル型
- 横軸角テーブル型
- 横軸円テーブル型
それぞれテーブルの形状と砥石軸の方向によって種類が異なる他、テーブルが往復方向に動いたり回転できる研削盤があります。
また砥石軸を自由に動かせる可変タイプや、立横複合タイプなどさまざまです。用途によって適したタイプがあるため、ご自分のニーズに合った機械を見つけてください。
1. 立軸角テーブル型
立軸角テーブル型は、砥石の軸がテーブルに対して垂直で、かつテーブルが角型の機械です。チャックと呼ばれる装置でテーブルにワークを固定し、砥石の側面を押し当ててテーブルを水平方向に往復させて研磨します。
砥石の外周面ではなく側面で研削するため、一度に広い面積を加工できる点が特徴です。大きなワークを、効率よく加工したい場合に適しています。
2. 立軸円テーブル型
立軸円テーブル型は、ワークを固定するテーブルが円形の平面研削盤で、ロータリー研削盤と呼ばれることもあります。複数のワークを固定したテーブルを回転させ、砥石の側面を押し付けて研削するのが特徴です。
複数の部品に同じ力で砥石を押し当てるため全て同じ厚みに加工でき、主に小型の部品を大量に加工したいときに用いられます。なお、立軸円テーブル型の研削盤を使用した際に研削面にできるキズはクロスハッチと呼ばれているため、専門用語として覚えておきましょう。
3. 横軸角テーブル型
横軸角テーブル型は、ワークをチャックで固定し、角テーブルを水平方向に往復させる点は立軸角テーブル型と同じです。ただし横軸角テーブル型は、砥石の外側の面で研削します。
砥石の平らな面で研削する研削盤とは異なり、砥石の外周の幅を研削したい時に有効な研削盤です。
多くの現場に導入されていて、直方体や立方体、段差があるワークを効率的に加工できます。粗加工もできる他、キレイな平面を得られるため前加工の跡を消すことも可能です。
4. 横軸円テーブル型
横軸円テーブル型は、円形のテーブルに対して砥石軸が水平に設置されている研削盤です。水平方向に回転する円形のテーブルにワークを設置し、砥石の外側の面で研削します。
円形や正方形のワークを高精度に加工でき、横軸ロータリーと呼ばれることもあります。複数のワークに対して同じ力をかけられるため、同じ砥石軸の横軸角テーブル型に比べて小さな部品を量産する際に高精度な加工が可能です。
平面研削の4つの加工方法
平面研削盤の種類を解説しましたが、ここでは以下の4つを解説します。
- トラバース研削
- プランジ研削
- クリープフィード研削
- コンタリング研削
機械自体の種類と合わせて、平面研削の基本知識として覚えておきましょう。
1. トラバース研削
トラバース研削は、テーブルを左右方向、サドルを前後方向に移動させてワークの平面を削る方法です。サドルとはテーブルを支えている部分で、ワークに異なる方向の運動を与えられます。
仕上げの自由度が高く、多様な加工ができるのが特徴です。加工部が砥石幅より広い場合に用いられる方法で、広い面積を効率よく加工できます。
トラバース研削のメリットは、加工面がキレイに仕上がることです。また広い範囲を研削するため、ワークに振れが出にくいことや砥石に段差ができないこともメリットです。ただし他の加工方法に比べて時間がかかる点は、デメリットとして覚えておきましょう。
2. プランジ研削
プランジ研削は、テーブルのみを左右に動かしてワークを削り取る方法です。サドルは動かさないため、砥石幅で補える程度の加工部の場合に使用されます。
切込量が変わらないため高い作業効率が期待できますが、ワークに負荷がかかり触れが発生しやすくなる可能性がある点には注意が必要です。トラバース研削に比べて、砥石幅でまかなえる範囲を加工したい場合はプランジ研削が適しています。
3. クリープフィード研削
クリープフィード研削は、テーブルの往復運動の速度を極端に落として加工する方法です。代わりに砥石の送り量を深くして、時間をかけて加工します。
砥石を複数回当てなくても済むため、回数を重ねて少量を削り取るトラバース研削やプランジ研削に比べて砥石が消耗しない点がメリットです。
クリープフィード研削の特徴は1パスで仕上げられることで、耐熱超合金や超硬合金などの加工に用いられます。
4. コンタリング研削
コンタリング研削は、ワークを任意の形に研削する方法です。数値でコントロールできる平面研削盤で、水平と垂直の2軸で表面の形状を整えます。
直線や平面の加工だけでなく、曲線や輪郭に合わせた加工ができることが大きな特徴です。さらに複数のワークを同時に加工できるため、大量の部品などを受注した際、納期の短縮やコストカットにも役立つでしょう。
平面研削加工は超硬素材・超硬加工 ソリューションナビにお任せください
平面研削は、平面研削盤を使用して加工する研削加工の方法です。ニーズに合わせて4種類の平面研削盤と4つの方法を使い分け、高い精度での平行度や平面度を求められた際に高い生産性を発揮します。しかし使用する素材が超硬素材の場合などには、高い技術が求められます。
超硬素材・超硬加工 ソリューションナビでは、超硬素材の加工に関するノウハウを有しているため、お客さまにご満足いただけるサービスが提供可能です。
平面研削にお困りの方は、ぜひ一度超硬素材・超硬加工 ソリューションナビにぜひお問い合わせください。
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この記事を監修した人
大久保 文正
エバーロイ商事株式会社
昭和33年の設立以来、長年にわたり超硬工具の販売。
その製品はエバーロイの名で、広く多くのお客様からご支持をいただいております。
技術革新の激しい時代の中、お客様のあらゆるニーズに対応すべく、製販一体となって当社のオリジナリティを生かした営業活動を推進して参ります。
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